洗濯バサミ遊びは、身近なもので気軽に取り入れられる知育遊びです。つまんで開く、はさむといった一連の動きには、指先の力や感覚を育てる大切な要素が含まれています。準備や片付けの手間が少ないため、忙しい日でも取り入れやすく、親子で会話をしながら自然に手先の発達を促せます。
この記事では、洗濯バサミ遊びの基本やねらい、台紙の作り方、年齢に合わせた工夫などをまとめました。遊びの幅を広げたいときのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
※2025年10月16日時点の情報です。
洗濯バサミ遊びとは?自由にはさんで楽しむ指先あそび
洗濯バサミ遊びは、身近な道具を使って指先を動かすあそびです。特別な道具は必要なく、家にある洗濯バサミと厚紙の台紙があれば始められます。「きれいに並べる」「決められた場所にとめる」といった正確さよりも、まずは自分で動かしてみることを大切にします。
はじめのうちは、子供が好きな場所にはさんでみるだけでも十分です。 「どこにしようかな?」「パチッて鳴ったね」といった声かけをすると、手の動きと音や感触が結びつき、動作への興味が深まります。 遊びながら自然に、つまむ→狙う→放すという一連の動きを体験できます。
使う道具は、一般的なプラスチック製の洗濯バサミで問題ありません。はじめは扱いやすいように、大きめの台紙(A4サイズ程度)と広めの間隔を意識します。台紙の厚みは、画用紙や厚紙などのしっかりしたものが向いています。角を丸くしておくと、指に当たりにくく安全です。
遊び終わったら、「たくさんできたね」「こんなところにもつけられたね」と声をかけて振り返ります。
結果よりも過程を楽しむ姿勢が、子供の達成感や意欲を育てます。
洗濯バサミ遊びで育つ力
洗濯バサミをつまんで放す動きには、指先だけでなく目・手・考える力も関わってきます。「つけたい」「とどいた」という小さな成功を積み重ねることで、日常生活にもつながる力が育ちます。
指先の使い方を覚える
つまんで開き、はさむ動作では、親指・人差し指・中指を協調させて動かします。繰り返すうちに指の力がつき、ボタンを留める・スプーンを持つなどの生活動作の基礎にもつながります。小さな力加減を学ぶことで、手全体を上手に使えるようになります。
目と手を連動させる力が育つ
狙った場所に洗濯バサミをはさむとき、目で位置を確かめながら手を動かします。この「見て→動かす」動きは、目と手の協調を育てます。挟む場所を自由に選ぶときも、「ここにしよう」と考えて手を動かすため、自分で考えて行動する力にもつながります。
色や位置の違いに気づく
台紙と洗濯バサミの色を合わせる遊び方をすると、自然と色の違いを意識できるようになります。「赤はどこ?」「黄色はここかな?」などのやりとりを通して、色の識別や言葉の理解も深まります。形や位置を比べる力も育つため、今後の製作あそびにも生かせます。
達成感と意欲を育てる
はさみ終えた台紙を見て「たくさんできたね」「カラフルなたてがみになったね」と共感することで、できた喜びを感じられます。「またやってみたい」という気持ちは、次の挑戦への原動力になります。
台紙づくりのアイデア集
洗濯バサミ遊びの楽しさを広げるには、テーマのある台紙を用意すると、遊びの幅が広がります。絵を描いたり色を加えたりするだけで、遊びがぐっと豊かになります。台紙づくりは大人が事前に準備しても、子供と一緒に描いても構いません。
ライオンのたてがみ
円の中央にライオンの顔を描き、周りに洗濯バサミをはさんで「たてがみ」を作ります。好きな色を自由につけて楽しんだあとは、色合わせ遊びにも発展できます。「黄色のたてがみはどこ?」「赤いたてがみもつけよう」などの声かけで、色の識別を促せます。完成したライオンを飾ると、達成感を味わいながら指先の動きも定着します。

お花や太陽のかたち
花びらや太陽の光のように、放射状に洗濯バサミをつける構成です。形のまとまりが分かりやすく、どこにでも自由にはさめるので2歳後半から取り組みやすいです。「花びらがふえたね」「おひさまの光がのびたね」と声をかけながら、変化を一緒に楽しみましょう。
お弁当や季節のテーマ
お弁当のイラストや、季節のモチーフ(桜・海・どんぐり・雪)などを描いて、色合わせで具材や季節を表現します。遊びながら、身の回りの言葉や季節を覚えるきっかけになります。
台紙の材料と工夫
- 素材はA4サイズの厚紙やボール紙が扱いやすい
- 角を丸くして手に当たりにくくする
- 手で貼れるラミネートフィルムなどを使って紙の強度を高めても◎
2歳半から始める洗濯バサミ遊びの進め方
洗濯バサミを安全に扱えるようになるのは、2歳半ごろからです。この時期は、動かす楽しさを感じながら、少しずつ自分の手で操作できるようになる段階です。
ステップ1:好きなところをはさんでみよう
最初はルールを設けず、自由にはさむだけで十分です。台紙のどこにとめてもよく、「ここにしようかな」「こっちにもつけよう」と、自分で選ぶ体験が中心になります。「できたね」「パチッと音がしたね」と声をかけることで、動作と感覚が結びつきます。
ステップ2:台紙と洗濯バサミの色を合わせよう
慣れてきたら、台紙に色付きシールを貼り、同じ色の洗濯バサミを探してはさむ遊びに広げます。「黄色はどこかな?」「青も探してみよう」と声をかけながら、色の違いを意識できるようにします。
正確さよりも、「自分で見つけて試す」流れを大切にします。
ステップ3:できた!を一緒に喜ぼう
完成した台紙を一緒に見ながら「たてがみがふさふさになったね」「お花がたくさん咲いたね」と言葉を添えます。成果を共有することで、達成感と次への意欲が自然に育ちます。終わった台紙は飾ってもよく、作品として残すことで「またやりたい」という気持ちが続きます。
安全に楽しむために
- 割れや欠けのある洗濯バサミは使わない
- はさむときに勢いがついて当たることがあるので、顔の近くでは使わない
- 遊ぶときは必ず大人が見守る
- 終わったらケースに片づける
洗濯バサミ以外の指先を使ったおもちゃ4選
洗濯バサミ以外にも、指先を使って楽しめる遊びがあります。形を変える、はめる、通すなどの動きも、同じように手の使い方を育てます。
ペグさし(棒さしあそび)
穴のあいた板にカラーペグをさして遊びます。色の組み合わせや高さを比べることで、狙う動作と集中力を養えます。
対象年齢:6か月~
サイズ:7 x 7 x 15 cm
主な素材:木材
色とりどりの木製スティックやコインを、同じ色の穴に差し込んで遊ぶモンテッソーリの木のおもちゃです。スティックやコインを指でつまみ、狙った穴に入れる動きの中で、手と目の協調や指先の力加減を自然に育てます。色の識別や順番づけを考えながら遊ぶことで、集中力や観察力も伸ばせます。遊び方を変えて、色ごとに並べる、数を数えるなど成長に合わせた工夫ができる点も魅力です。木の温かみが感じられるシンプルなつくりで、おうち遊びに取り入れやすい知育玩具です。
ビーズやひも通し
大きめのビーズをひもに通す遊びです。最初はストローを切ったものなど大きめの素材で始め、目と手の連動を練習します。
対象年齢:3歳~
サイズ:20 x 14 x 12.5 cm
主な素材:木材
果物や動物など、親しみやすい形の木製パーツにひもを通して遊ぶひもとおしのおもちゃです。ひもを穴に通す動作は、指先の細かな動きや手と目の協調を育てるのに役立ちます。カラフルなピースを見比べながら順番に通していくうちに、集中力や色の識別力も高まります。ちいさめの木製パーツは手にフィットしやすく、収納ケースが付いているため片づけも簡単です。
型はめブロック
形の違いを見分けながらはめるブロックは、形の認識と手の操作を同時に促します。「丸はどこ?」「四角はここ」と声をかけながら遊ぶと、形の理解が深まりやすくなります。
対象年齢:1.5歳~
サイズ:28.2 x 26.2 x 11.8 cm
主な素材:ABS
「はじめてのデュプロ ワンちゃんのおうちと型はめパズル」は、ワンちゃんをモチーフにしたブロック遊びと型はめパズルがひとつになったセットです。ブロックを積んだり外したりする動作を通して、手先の感覚や形の認識を養います。ブロックをはめるだけでなく、穴からブロックを落とす「型はめブロック」としても遊べます。屋根や骨などのパーツには異なる形の穴があり、対応するブロックをはめることで形あわせの力が自然に身につきます。角が丸く大きめサイズのデュプロブロックは、安心して扱えるのが特長です。
マジックテープつきのおもちゃ
マジックテープで貼ってはがせるおもちゃは、指の力加減と繰り返しの感覚を育てます。繰り返し貼る・はがす中で、手の力を調整する感覚を覚えます。
対象年齢:1歳~
サイズ:15 x 8 x 6 cm
主な素材:プラスチック, 布
布製の海の生き物をマジックテープのついた釣りざおで釣る遊びと、カラフルな積み重ねカップ遊びが一緒に楽しめるセットです。やわらかい布のお魚は手触りが良く、狙って釣る動きで集中力や手と目の協調を育てます。カップを重ねたり入れ替えたりすることで、高さや大小の感覚も学べます。素材は軽くて扱いやすく、室内でも安全に遊べる設計です。魚の色や形を比べるあそびを通して観察力や思考力を伸ばせる多機能な知育おもちゃです。
まとめ|洗濯バサミあそびは「自分で動かす楽しさ」から
洗濯バサミ遊びは、指先を鍛えるためのトレーニングではなく、自分の手で動かしてみること自体を楽しむあそびです。「うまくはさめた」「音が鳴った」「はなびらができた」そんな小さな成功の積み重ねが、子供の「もっとやりたい」という意欲を育てます。
この遊びには、つまむ・放す・狙うといった動作を通して、手の力加減や目と手の連動を学ぶ要素がたくさんあります。また、好きな場所にはさむ自由な遊び方は、子供の発想や選ぶ力を引き出します。「どこにはさもうかな」「同じ色を見つけたね」といった声かけを重ねることで、観察力やことばの理解も自然に育っていきます。
結果をほめるより、過程を一緒に楽しむ姿勢が、達成感や自信を支える土台になります。この小さな成功体験が、のちの製作あそびや生活動作にもつながっていきます。
洗濯バサミは、家庭にある身近な道具でありながら、遊び方次第で手先・思考・感情を育てる頼もしい教材です。子供の「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、自由にはさんで、完成を一緒に喜ぶ時間をぜひ楽しんでください。
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参考文献
北海道ひまわりの北竜町 明るい農法.“発育・発達の様子 【発達の目安】”.http://www.town.hokuryu.hokkaido.jp/pdf/sukusuku/5.pdf,(参照 2025-10-16)