2歳頃の子供は、季節の変化に敏感になり、身の回りで起こる出来事を絵や言葉を通して理解し始める時期です。寒い日が続く冬は外遊びの時間が減り、室内で過ごすことが増えるため、「この季節をどう楽しく過ごそうかな」と感じるかたもいるでしょう。そんな冬の時間に寄り添ってくれるのが、雪や冬の自然、季節の行事を描いた絵本です。
冬をテーマにした絵本は、見たことのない景色や体験をわかりやすく伝えてくれるだけでなく、言葉の理解や気持ちの成長にも役立ちます。読み聞かせのひとときを通して、親子で季節を感じながらあたたかい時間を過ごせる点も魅力のひとつです。
この記事では、2歳向けの冬に読みたい絵本をテーマに、発達段階に合う選び方や、冬におすすめの絵本をまとめています。冬の夜の読み聞かせやお昼の静かな時間にぴったりの内容ですので、ぜひ参考にしてください。
※2025年11月27日時点の情報です。
2歳児が冬の絵本を楽しめる理由
2歳頃の子供は、日常の中で起こる「変化」に強い興味を持ちます。特に冬は、気温の変化や服装の違い、外の景色の白さなど、視覚的にも感覚的にも刺激が多い季節です。こうした季節の変化は、絵本の世界を通して理解しやすく、親子で一緒に季節を感じられるきっかけになります。冬ならではの体験が増える時期だからこそ、絵本が子供の成長を自然に支えてくれる時間になるでしょう。
冬の絵本は「ことばの芽」を育てるきっかけになる
2歳頃は、言葉の意味を理解し始め、聞いた言葉を真似して使おうとする時期です。冬の絵本には「ゆき」「さむい」「ふわふわ」など、季節に特有の言葉が多く登場します。こうした言葉は実際の体験と結びつきやすく、絵本で見た言葉を外の風景と重ねることで、理解が深まります。絵と音の両方で繰り返し触れることで、語彙が自然に増えやすい点も絵本の大きな魅力です。
冬の情景は「気持ちの理解」を育てやすいテーマが多い
冬の物語には、あたたかい家族の時間や相手を思いやる気持ちが描かれる作品が多く、2歳の子供が感情を理解するきっかけになります。同じ場面を見て「どう思ったのかな?」と聞くことで、気持ちに気づく経験につながります。まだ言葉でうまく表現できない時期でも、絵本の中のキャラクターの表情や行動から気持ちを読み取る力が育ち、人との関わりにもつながっていく時期です。
冬は「感覚の芽」が育ちやすい季節
2歳頃は、音・色・匂い・温度・触れた感覚(体性感覚)など、さまざまな刺激に気づきやすくなる時期です。「冷たい」「あたたかい」「白い」「キラキラ」などの感覚的な変化に興味が向き、触って確かめる行動も増えます。冬は気温の違いや景色の変化が大きいため、自然と季節の刺激を多く受け取れる時期です。絵本の中に描かれる冬の描写は、実際の体験と結びつきやすく、興味の広がりにつながります。
「冬ならではの体験」を物語にすると理解しやすい
寒さや雪など、冬は視覚的にわかりやすい変化が多く、2歳の子供にとって理解しやすいテーマがそろっています。見たことのない風景も、絵本で繰り返し触れることで親しみを持ちやすくなります。外で雪を見たときに「絵本と一緒だね」と声をかけると、経験と物語が結びつき、世界の広がりを感じる時間にもなります。
2歳向け冬の絵本の選び方!3つのポイント
2歳頃は、言葉の理解や気持ちの変化が目に見えて育つ大切な時期です。冬の絵本を選ぶ際は、季節の出来事をイメージしやすい表現が使われている作品や、読み聞かせで親子のやりとりがしやすい絵本が役立ちます。繰り返し読みたくなる内容や、子供が知っている冬の経験と自然につながる描写があると、物語の世界に入り込みやすくなります。
2歳が理解しやすい 「言葉のリズム」を大切に選ぶ
2歳はリズムのある言葉を耳にすることが好きな時期で、同じ言葉が繰り返される絵本は理解しやすく、内容を覚えやすい特徴があります。「ゆき」「ふわふわ」「つめたい」など冬らしい短い言葉がリズムよく登場する作品は、発語にもつながりやすく、親子で一緒に声を出して楽しめます。言葉のリズムが整っている絵本は、読む側の負担も少なく、自然に読み聞かせの時間が長くなる点も魅力です。
冬の景色や日常が 「ひと目でわかる絵」 を選ぶと楽しみが広がる
2歳児にとって、絵は「言葉より先に理解できる情報」です。冬の絵本では、雪景色や空の色、あたたかい部屋の様子など、季節特有の風景がしっかり描かれた作品が理解しやすく、見たままの印象で楽しめます。また、冬の服装や帽子、マフラーなど、日常で目にするアイテムが絵に入っていると「同じだね」と子供自身の生活と結びつけて理解を深めやすくなります。
ページ数と展開は「短く・わかりやすく」が安心できる
2歳向けの絵本は、物語が長すぎないことも大切です。冬の絵本は内容がしっとりしているものも多いため、ページ数が少なくテンポよく進む作品のほうが集中しやすく、最後まで飽きずに聞ける傾向があります。はっきりした色づかいの絵や、シーンの切り替えが大きい作品は視線を追いやすく、読み聞かせに慣れていない時期でも楽しめます。身近な出来事が題材になっている絵本は、冬の生活と物語が自然につながり、絵本を通した学びの幅も広がります。
2歳におすすめの冬の絵本4選(雪・冬の自然編)
冬の絵本は、外の景色や気温の変化を言葉と絵でわかりやすく伝えてくれます。2歳頃は、雪の白さや冷たさなど季節特有の刺激を敏感に感じ取りやすい時期です。冬の自然を題材にした絵本は、子供が実際に経験したことと物語がつながるため、理解が深まりやすく、季節を感じるきっかけにもなります。
冬の自然を「見て・感じて・楽しめる」絵本たち
対象年齢:2歳~
サイズ:20.5 x 0.7 x 21.5 cm
ページ:24ページ
「とらたとおおゆき」は、大雪の降った日、お父さんにそりを作ってもらったとらたが、公園の雪山でそり遊びを楽しむ物語です。勢いよく坂をすべり降りたり、そりに鈴をつけてもらって音を鳴らしながら走ったりと、雪の日ならではのダイナミックな遊びがいきいきと描かれています。鈴の音に誘われて友達が集まり、みんなでそりに乗って滑る場面は、2歳の子供にとっても「いっしょに乗りたい」と気持ちが動きやすいところです。短い文章とリズムのある言い回しが多く、読み聞かせの声に合わせて体を揺らしたり、フレーズを真似したりしながら楽しめる一冊です。
対象年齢:2歳~
サイズ:19.5 x 0.7 x 21.5 cm
ページ:32ページ
「ゆきのひの ゆうびんやさん」は、風邪をひいてしまったうさぎの郵便屋さんの代わりに、3匹のねずみが大雪の中で郵便配達に出かける物語です。襟巻きをしっかり巻いて、どうぶつたちの家を順番に回っていく様子が細かく描かれており、「誰のところへ行くのかな?」という見通しをしながら読めます。強くなる雪や風の中でも一生懸命届けようとする姿から、「人のためにがんばる」「約束を守る」といった気持ちに触れられる点も特徴です。冬の景色や雪道の描写が多く、2歳の子供が冬の雰囲気を絵から感じ取りやすい絵本です。
対象年齢:2歳~
サイズ:25 x 25 x 0.8 cm
ページ:25ページ
「ないしょでんしゃ」は、雪が降ったので、「もりのてつどう」をお休みして大掃除を終え駅長さんが一息ついていると、赤い電車が「ないしょ」の世界へ走り出すファンタジー絵本です。駅長さんの知らないないしょの駅やないしょの山が登場したりと、雪景色の中を進んでいく展開が印象的です。ジェットコースターのように駆け抜けたり、トンネルを抜けたりするシーンは、2歳の子供にも「次はどうなるの?」とワクワクしやすい部分です。冬の夜の雰囲気と、ちょっと特別な世界が合わさった物語で、想像力を広げながら楽しめます。
対象年齢:2歳~
サイズ:21 x 22 x 1 cm
ページ:24ページ
「やまのおふろやさん」は、しんしんと雪が降る山の中で、ぽこぽことお湯がわいている「やまのおふろやさん」に、動物たちが次々と飛び込んでいくお話です。冷たい雪の外と、おふろのあたたかさの対比がわかりやすく、「さむい」「あったかい」といった感覚をイメージしやすい構成です。繰り返しのリズムや、動物たちが入れ替わり登場する流れが安定しているため、2歳の子供でも先を予想しながら聞くことができ、冬の日常と結びつきやすい一冊です。
2歳におすすめの冬の絵本4選(季節の行事編)
冬にはクリスマスやお正月など、子供にとって特別な行事が続きます。行事の意味はまだ理解しきれなくても、絵本を通して季節の雰囲気や楽しさを自然に感じ取ることができます。2歳向けの行事絵本は、難しい説明よりも、行事ならではの音・におい・色や、家族の集まりといった場面をやさしく描いている作品が多く、初めての行事にも取り入れやすい内容になっています。
冬の行事を「親子で楽しめる時間」に変えてくれる絵本たち
「なんのにおい ふゆ」は、冬の季節に漂う「におい」をテーマにした、感覚に寄り添う一冊です。冬の匂いといっても、子供はまだ言葉で説明することが難しい時期ですが、絵本では「おでんのにおい」「七草のにおい」など、身近な場面を通して冬を感じる経験が描かれています。においをテーマにした絵本は数が少なく、感覚が育つ2歳にぴったりです。「このにおい知ってる?」と声をかけると親子の会話が広がり、冬の生活とリンクさせながら楽しめる内容になっています。
「ピヨピヨ メリークリスマス」は、人気シリーズ「ピヨピヨ」から、クリスマスの日のお話です。ひよこたちがクリスマスツリーを飾ったり、部屋をととのえたり、家族で楽しい時間を過ごす様子があたたかい絵で描かれています。クリスマスの準備が順番に進んでいくため、2歳の子供でも見通しが持ちやすく、次の場面を楽しみにしながら読み進められます。ごちそう、飾りつけ、プレゼントなど、家庭でよく見る場面が多く、実際のクリスマスと絵本の世界がつながりやすい構成です。家族で過ごす行事の雰囲気がしっかり伝わり、読み聞かせにも取り入れやすい作品です。
対象年齢:2歳~
サイズ:21 x 0.6 x 18.7 cm
ページ:24ページ
「おもちさんがね‥」は、お正月に欠かせないおもちが主人公のお話です。おもちさんが伸びたり、ぷるんとふくらんだりする姿がユーモラスに描かれており、食べものが動き出す世界観は2歳の子供にも親しみやすい内容です。焼けるとぷっくりふくらむ場面や、のびる特徴が視覚的に表現されていて、お正月料理の経験と重ねて楽しめます。行事食をテーマにしているため、お餅を知るきっかけとして、冬の食文化に触れられる一冊です。
対象年齢:2歳~
サイズ:22 x 1.3 x 22.6 cm
ページ:24ページ
「すいすいたこたこ」は、しろくまさん一家とあざらしさん一家が、お正月にみんなでたこあげを楽しむ物語です。なんと凧ではなく蛸が風に乗ってすいすいと揺れる様子がやわらかいタッチで描かれており、冬の外の空気や風の動きをイメージしやすい内容になっています。うまく空にあがらず試行錯誤する場面もあり、子供が「がんばれ」と気持ちを重ねやすいところです。家族や友達といっしょに遊ぶ楽しさが伝わり、寒い季節でも外遊びのワクワクを感じられる一冊です。お正月の行事を自然に知るきっかけにもなります。
冬の絵本をもっと楽しむ読み聞かせアイデア
冬は家の中で過ごす時間が増え、読み聞かせがゆったり行える季節です。2歳頃は、言葉を覚えるだけでなく、気持ちを共有する時間にもつながりやすいため、親子で絵本に向き合うひとときが発達を支える大切な時間となります。冬の絵本は、音や色のコントラスト、温度の違いなど、季節ならではの感覚が描かれているため、子供がイメージしやすく、物語に自然と入り込みやすい特徴があります。
声のトーンで冬の空気感を伝える
冬の絵本は、季節の空気を声で表現しやすい内容が多い点が特徴です。雪が降る場面では少し静かに、風が吹く場面では息を含ませるように読むと、音と情景がつながり、子供が場面を思い浮かべやすくなります。2歳頃は音の変化に敏感な時期なので、声の強弱やリズムを調整するだけで、集中して聞く時間が長くなりやすいです。絵本の中で出てくる擬音語は、ゆっくりと、はっきり読みあげると模倣につながり、発語のきっかけになることもあります。
生活経験と物語をつなげる声かけを意識する
冬の絵本には、雪、冷たい空気、あたたかい部屋、年末年始の行事など、子供が日常の中で触れる場面が数多く描かれています。「この前見た雪と似ているね」など、子供の経験と絵本の内容を結びつける声かけをすると、理解が深まりやすくなります。2歳頃は確かめる行動が増える時期なので、絵本の中の感覚を思い出しながら言葉と体験が結びつくと、季節の理解にもつながります。
冬ならではの小さな再現遊びを取り入れる
2歳の子供は、絵本を静かに眺めて世界に入りたい時と、体を動かしながら気持ちを表現したい時があります。もし、子供が絵本の中の動きに反応して体を揺らしたり、手を動かしたりする様子が見られた時は、その気持ちに軽く寄り添うだけで十分です。「雪、ふってきたね」と手をひらひらさせてみせたり、あたたかい場面では頬に手をあててみせたりする程度の、さりげない動きで十分伝わります。子供が物語に浸っていたらそのまま静かに読み進めて構いません。小さな仕草は子供の興味が自然に出たときだけ取り入れることで、絵本の世界観を損なわず、ゆっくりと余韻を味わえる時間になります。
まとめ|2歳が冬の絵本を通して季節を感じる時間を大切に
2歳の子供にとって冬は、気温の変化や雪の白さなど、季節ならではの刺激に出会う貴重な時期です。冬の絵本を通して、こうした変化を絵や言葉でわかりやすく伝えていくことで、子供が日常の体験と物語を結びつけやすいという特徴があります。雪の世界や冬の自然を描いた絵本は、色・音・温度の違いを感じ取るきっかけになり、行事や家族の時間を描いた絵本は、季節の出来事に親しむ機会にもつながります。
また、読み聞かせの時間は、気持ちを共有したり、言葉の理解が深まったりする大切なひとときです。声のトーンを少し変えたり、子供の経験と絵本の内容をつなげる声かけをすることで、物語がより身近に感じられるようになります。静かに絵を眺めたい時はその気持ちを尊重し、興味が動きとして表れたときには軽く寄り添う関わり方をすることで、絵本の世界をゆっくり楽しめます。
冬の絵本とともに、親子のあたたかい時間が広がりますように。
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参考文献
北海道ひまわりの北竜町 明るい農法.“発育・発達の様子 【発達の目安】”.http://www.town.hokuryu.hokkaido.jp/pdf/sukusuku/5.pdf,(参照 2025-11-27)
