「3歳児の癇癪が激しいのはなぜですか?」
「外ではいい子なのに家では癇癪を起こしてしまうのはなぜ?」
3歳になると「外では驚くほどお利口なのに、家に帰ると癇癪を起こして手がつけられない」という姿に戸惑うかたもいるのではないでしょうか。保育園や幼稚園では先生から「とてもいい子ですね」と言われるのに、家では泣き叫んだり物に当たったりする姿を見て「うちの子だけ?」「育て方が悪いの?」と悩む方もいるでしょう。
実はこれは多くの子供に見られる自然な行動です。この記事では、その理由と家庭でできる関わり方を解説します。子育ての仕方に悩んでいる方は、悩みすぎずにぜひ参考にしてください。
※2025年9月2日時点の情報です。
3歳児が外と家で態度が変わる理由
外ではお利口にしているのに、家に帰ると癇癪を起こす…。このギャップに戸惑うかたも多いでしょう。実は、3歳前後の子供にとって外と家でのふるまいが大きく違うのは自然なことです。ここでは、その背景を整理して理解を深めていきます。
外では我慢している
保育園や幼稚園などの外の環境では、周囲に合わせて行動しなければならない場面が多くあります。子供は「泣いたら迷惑かな」「先生や友達に嫌われたくない」という気持ちから、本能的に感情を抑え込むことがあります。小さな体と心で我慢を重ねているため、帰宅後にその反動が表れるのです。
家では安心して甘える
家は子供にとって一番安心できる場所です。そのため、外で抑えてきた感情を一気に解放し、泣いたり怒ったりして甘える姿を見せることがあります。これは保護者を信頼している証でもあり、子供が健やかに心を発達させているサインとも言えます。
発達段階としての自己主張
3歳頃は「自分でやりたい」という気持ちが強まる発達の時期です。しかし思い通りにいかない場面では、癇癪という形で気持ちを爆発させてしまうことがあります。これは自我の芽生えに伴う自然な過程であり、成長の一部として受け止めることが大切です。
3歳児の癇癪における具体的な原因
子供が家で癇癪を起こす背景には、いくつかの要因が重なっていることがあります。ここでは、3歳児に多く見られる代表的な原因を整理して解説します。
疲れや空腹など身体的な要因
3歳の子供は体力がついてきたように見えても、まだ疲れや空腹に大きく左右されます。お昼寝が足りない、夕食までの時間が長すぎるといった状況が続くと、感情をコントロールする力が低下し、些細なことで癇癪を起こしやすくなります。
言葉で伝えきれないストレス
言語能力が発達してきても、自分の思いを大人と同じように言葉で説明するのは難しい年齢です。「もっと遊びたい」「嫌だった」などの気持ちを言葉で表せないとき、もどかしさが爆発して癇癪という行動で表現されることがあります。
「自分でやりたい」気持ちとのギャップ
3歳は「自分でやりたい」という意欲が強くなる時期ですが、まだ思うようにできないことも多くあります。服を着る、靴をはく、おもちゃを片づけるなど、挑戦してもうまくいかないと「できない!」というもどかしさが高まり、癇癪につながるのです。
3歳児の癇癪に!家庭でできる対応方法
子供が癇癪を起こしたとき、どのように関わるかで子供の心の落ち着き方は大きく変わります。感情の爆発そのものを止めることは難しいですが、親の対応次第で子供は安心感を得て少しずつ自己調整を学んでいきます。ここでは家庭で実践できる具体的な方法を紹介します。
気持ちを受け止める
まず大切なのは、癇癪を「悪いこと」と決めつけずに受け止めることです。「怒りたくなったんだね」「悲しい気持ちなんだね」と言葉で代弁すると、子供は理解してもらえた安心感を得やすくなります。泣き叫ぶときに「やめなさい」と否定するより、気持ちに共感する声かけをすることで、子供は安心して落ち着くきっかけをつかみやすくなります。
安全を確保して冷静に対応する
癇癪の最中は物を投げたり、床に寝転んだりする姿が見られます。危険な物を手の届かない場所に移したり、周囲を片づけたりして安全を守ることが必要です。同時に、保護者が大声で叱ると感情がぶつかり合い、さらに癇癪が激しくなることもあります。大人が落ち着いた態度で見守ることで、子供は「安心できる環境で受け止めてもらえている」と感じやすくなります。また、場合によっては対応する大人が交代するのも効果的です。母親が対応して落ち着かない場合でも、父親や祖父母など別の大人が代わると、子供が気持ちを切り替えて落ち着くことがあります。
落ち着いた後に気持ちを整理する
癇癪が収まった後は、振り返りをする絶好の機会です。「どうしたかったのかな?」「さっきは悲しかったね」「こう言ったら伝わるよ」と優しく伝えることで、子供は自分の気持ちを言葉にする練習ができます。また、親子で「次はこうしようね」と一緒に考えることで、感情をコントロールする力を少しずつ身につけていけます。癇癪を成長の一部として捉え、学びの時間に変える視点が大切です。
三歳児の親の心構えと関わり方
子供の癇癪に向き合うとき、保護者自身の気持ちの持ち方もとても大切です。癇癪は発達の一過程であり、子供なりに心を成長させている証と捉えることができれば、対応にも余裕が生まれます。ここでは、親の心構えと関わり方のポイントを整理します。
感情的に巻き込まれない工夫
子供の泣き叫ぶ姿に感情的に反応すると、状況がさらに悪化することがあります。深呼吸をしたり、少し距離を取って落ち着く時間を設けたりすることで、冷静に向き合えるようになります。親が落ち着いた態度を示すことは、子供にとって安心できる環境づくりにもつながります。
一貫した対応で安心感を与える
「今日は許したけれど、昨日は叱った」というように対応が日によって変わると、子供は混乱して癇癪が強まることがあります。対応の基準を家族内で統一することで、子供は見通しを持ちやすくなり、安心感が生まれます。夫婦や祖父母と子育てを協力する場合も、共通のルールを意識することが大切です。
抱きしめて安心を伝える
強い癇癪が起きているときには、言葉だけで気持ちを落ち着かせるのは難しい場合があります。そのようなときは、ぎゅっと抱きしめて「大丈夫だよ」と伝えることが効果的です。体のぬくもりを感じることで子供は安心しやすくなり、落ち着きを取り戻すきっかけにもなります。
親自身も無理をしない
毎日のように癇癪に対応していると、お母さん・お父さんの心身が疲れてしまうこともあります。どうしても辛いときには、少し距離をとったり、家族に交代をお願いしたりしても構いません。親が無理をせず休息をとることは、子供に安定した関わりを続けるためにも大切です。
成長の一部と捉える視点
癇癪は決して「わがまま」や「育て方の失敗」ではありません。自分の気持ちを表現し、少しずつコントロールする練習の一つです。「今は成長の途中なんだ」と捉えることで、焦らずに見守る余裕が生まれます。完璧を求めすぎず、日々の小さな成長を見つける視点を大切にしましょう。
長引く場合の相談先とサポート環境
癇癪は成長過程で多くの子供に見られる自然な姿ですが、頻度が極端に多い、長時間続く、家庭生活に強い影響が出ている場合には、専門的な支援を検討することも大切です。ここでは、相談できる先やサポート体制について紹介します。
生活リズムを整えて予防する
癇癪が増える背景には、睡眠不足や空腹など生活リズムの乱れが影響していることがあります。規則正しい就寝やバランスの取れた食事、安心して遊べる時間を整えることは、気持ちの安定につながり、癇癪の予防にも効果的です。
身近な相談窓口を活用する
地域の保健センターや子育て支援センター、かかりつけの小児科などは、保護者が気軽に相談できる場所です。第三者に話すことで客観的なアドバイスが得られ、不安な気持ちが軽くなることもあります。保育園や幼稚園の担任保育士に相談することも有効です。
専門機関への相談を検討する
癇癪が長期間続き、家庭だけで対応するのが難しいと感じた場合には、発達相談を行っている専門機関や児童精神科などに相談するのも一つの方法です。専門家の視点から子供の発達や家庭環境を含めたアドバイスが得られるため、保護者が安心して対応できるようになります。公益財団法人 母子衛生研究会の公式サイトでは「3歳半の子の癇癪対応」に関する相談事例が紹介されており、保護者の気持ちを軽くしてくれるヒントが掲載されています。
まとめ|外ではいい子、家で癇癪を起こす3歳児への向き合い方
3歳前後の子供が「外ではお利口なのに、家で癇癪を起こす」という行動は珍しいことではありません。外では我慢し、家庭で安心して気持ちを解放するという発達段階の特徴が大きく関係しています。癇癪の原因には、疲れや空腹といった身体的要因や、言葉で表現できないもどかしさ、「自分でやりたい」という強い欲求などがあります。
家庭でできる対応としては、子供の気持ちを受け止めること、安全を確保し冷静に見守ること、落ち着いた後に感情を整理することが大切です。抱きしめて安心感を伝えることや、時には大人が交代して関わることも効果的です。親自身も無理をしすぎず、癇癪を成長の一部として捉える視点を持つと、心に余裕を持って接することができます。
それでも癇癪が長引いたり、家庭生活に強い影響が出たりする場合には、保健センターや小児科、専門機関への相談も検討してください。信頼できる情報を参考にしながら対応することで、子育ての不安を軽くし、安心して子供の成長を見守ることができます。
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▼参考文献
Benesse.“切実!子どもの癇癪(かんしゃく)にはどう対応するといいの?”.https://benesse.jp/kosodate/201712/20171219-1.html,(参照 2025-09-02)
Family Dr.“2歳・3歳の癇癪(かんしゃく)が大変!ママ&パパにおすすめの対応”.https://www.family-dr.jp/?column=21095,(参照 2025-09-02)
港南区子育てサイト ここなび.“こどもの"こだわりや癇癪(かんしゃく)"どう対応すればいいの?”.https://coconavi.city.yokohama.lg.jp/?p=4058,(参照 2025-09-02)
赤ちゃん&子育てインフォ.“Q. かんしゃくを起こす3歳半の子の母。かかわり方に悩んでいます (2024.9)”.https://coconavi.city.yokohama.lg.jp/?p=4058,(参照 2025-09-02)
LITALICOジュニア.“癇癪(かんしゃく)とは?起きる原因や発達障害との関連、対処法や相談先を解説します”.https://junior.litalico.jp/column/article/008/,(参照 2025-09-02)