節分が近づくと、「今年は小学生として、行事をどう伝えればよいのだろうか」と考えるかたは少なくありません。豆まきをするだけでよいのか、意味まで伝えたほうがよいのかと迷う中で、「絵本で伝えることは、小学生にはもう幼いのではないか」と感じるかたもいるのではないでしょうか。
幼児の頃とは違い、小学生になると行事の意味を少しずつ理解できるようになる一方で、どこまで説明すればよいのか判断が難しくなる時期でもあります。そのようなとき、節分をテーマにした絵本は、行事を押しつけずに伝えるための一つの手段になります。年齢に合った絵本を選んで物語や絵を通して触れることで、節分を学びにつなげるきっかけを作りやすくなります。
この記事では、小学生に合った節分絵本の考え方や、読み聞かせを学びにつなげるポイントを整理しています。家庭での関わり方を考えるきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
※2025年12月24日時点の情報です。
小学生になると、節分の受け取り方はどう変わる?
小学生になると、節分は「豆をまく行事」「鬼が出てくる行事」として体験するだけでなく、少し距離を取って考えられるようになってきます。鬼を怖がるだけで終わるのではなく、「鬼ってどんな存在なんだろう」「なぜ毎年この行事が続いているのだろう」と、行事そのものに目を向ける姿が見られるようになる時期です。
この変化は、行事の意味を正しく理解できるようになるというよりも、行事をどう受け取るかを考え始める段階に近いものです。家庭でも、「どう説明すればいいのか」と構えるより、子供なりの感じ方や疑問に寄り添う関わり方が求められるようになります。
行事は「覚えるもの」ではなく「考えるきっかけ」へ
幼児期の節分は、雰囲気を楽しみながら体験する行事として十分な役割を果たします。一方で、小学生になると、行事をそのまま受け取るだけでなく、「どうしてこう描かれているのか」「別の見方はないのか」と考える力が育ってきます。
この段階では、由来や決まりを一つの答えとして伝える必要はありません。行事に登場する鬼を、怖い存在としてだけでなく、物語の中の登場人物として捉えることで、節分を多面的に見る視点が生まれやすくなります。
「説明しなければ」より「一緒に感じる」関わり方を
小学生になると、「そろそろきちんと伝えたほうがいいのでは」と感じるかたも少なくありません。ただ、節分を学習のように説明しようとすると、親も子供も構えてしまいやすくなります。
そのようなとき、絵本は行事を押しつけずに伝えられる存在になります。物語や絵を通して鬼に触れることで、「怖い」「おもしろい」「不思議」といった感情が自然に生まれます。その感情こそが、行事を考える入り口になります。
小学生にとって絵本の役割は?
小学生になると、文字量の多い本や調べ学習に触れる機会が増え、「絵本はもう幼いもの」と感じる家庭も出てきます。しかし、絵本は知識を教えるための読み物だけではなく、行事や文化を別の角度から考えるきっかけとして活用できる特徴があります。
特に節分のように、「鬼」という象徴的な存在が登場する行事では、正解を説明するよりも、さまざまな捉え方に触れることが大切になります。絵本は、文章だけでは伝えにくい感情や立場の違いを、物語や絵を通して自然に感じ取れる点が強みです。
絵本は「理解させる道具」ではなく「視点を広げる存在」
節分について説明しようとすると、「鬼は悪い存在」「豆で追い払う行事」といった単純な構図になりやすくなります。一方で、絵本では、鬼の立場や日常、勘違いから生まれる行動などが描かれ、節分に登場する存在を一面的に捉えない視点が生まれやすくなります。
このような関わり方は、行事を正しく理解させることを目的とするのではなく、「そういう見方もあるんだ」と気づく体験につながります。小学生にとっては、その気づきこそが、行事を考える力を育てる土台になります。
読み聞かせは「教える時間」ではなく「共有する時間」
小学生向けの絵本読み聞かせでは、内容を説明したり、感想を求めたりする必要はありません。読んでいる時間そのものを共有し、気になった場面や印象に残った言葉を、そのまま受け止めるだけで十分です。
「この鬼、どう思った?」「この場面、ちょっと変だね」といった何気ない一言が、行事や物語について考えるきっかけになります。絵本は、節分を学習として扱うのではなく、家庭の中で自然に話題にするための存在として取り入れやすい読み物です。
小学生向け節分絵本はどう選ぶ?年齢に合った視点を整理する
小学生向けの節分絵本を選ぶときは、「行事を扱っているか」だけでなく、「どのような切り口で描かれているか」に目を向けることが大切です。幼児向けとは異なり、小学生は内容をそのまま受け取るだけでなく、自分なりに考えながら読み進める力が育ってきます。その発達段階に合った視点で絵本を選ぶことで、節分を学びにつなげやすくなります。
低学年は「物語として楽しめるか」を重視する
低学年の子供には、節分をテーマにしつつも、物語として分かりやすく描かれている絵本が向いています。登場人物の行動や気持ちが伝わりやすい構成であれば、節分という行事に自然と親しむことができます。この時期は、「由来を理解させる」ことよりも、「行事に触れる経験」を重ねることが大切です。鬼の存在についても、怖さを強調しすぎず、物語の流れの中で受け止められる表現かどうかを確認すると安心です。
中学年は「意味や背景に目が向く内容」を意識する
中学年になると、「なぜこの行事が続いているのか」「昔の人はどんな思いで行っていたのか」といった背景への関心が高まります。そのため、節分の由来や季節との関係がさりげなく描かれている絵本は、考えるきっかけになりやすくなります。ただし、情報量が多すぎると、物語として楽しみにくくなる場合もあります。説明が前面に出すぎていないか、子供が自分のペースで読み進められるかという視点も大切です。
家庭での会話につなげやすい構成かどうか
小学生向けの節分絵本を選ぶ際には、読み終えた後に会話が広がりやすいかどうかもポイントになります。「どうだった?」「この場面はどう感じた?」といったやり取りが自然に生まれる内容であれば、行事理解は深まりやすくなります。家庭での関わりを前提に、親が無理に説明しなくても会話のきっかけが生まれる絵本を選ぶことで、節分を生活の中の学びとして取り入れやすくなります。
小学生におすすめの節分絵本5選!行事を学びにつなげやすい作品
節分を題材にした絵本には、行事そのものを説明する作品だけでなく、「鬼」という存在をさまざまな角度から描いた物語があります。小学生向けには、節分を一つの出来事として捉えるよりも、物語を通して考えるきっかけを得られる絵本のほうが、学びにつながりやすくなります。
対象年齢:低学年~
ページ数:36ページ
「オニのサラリーマン」は、鬼の世界にも会社や家庭があり、働きながら生活している鬼の日常が描かれた物語です。舞台はあくまで鬼の世界で、人間社会と関わる描写はありませんが、鬼を「役割を持って暮らす存在」として描いている点が特徴です。節分で登場する鬼を、追い払う存在としてだけでなく、別の立場から捉え直すきっかけになります。登場人物の立場や考え方の違いに気づき始めた子供が、節分を多面的に考える入り口として読み進めやすい内容です。
対象年齢:低学年~
サイズ:21.8 x 0.9 x 26.4 cm
ページ数:36ページ
「ないたあかおに」は、人間と仲良くなりたい赤鬼と、その願いをかなえるために行動する青鬼を描いた物語です。節分を直接扱った内容ではありませんが、鬼の気持ちや行動に目を向ける構成になっています。小学生になると、登場人物の感情や選択の理由を考えながら物語を読む力が育ってきます。この絵本は、鬼を行事の象徴としてではなく、心を持った存在として捉える視点を与えてくれます。友だちとの関係や気持ちのすれ違いを経験し始めた子供が、登場人物の心情を重ねて考えやすい物語です。
サイズ:21 x 0.9 x 25.7 cm
ページ数:32ページ
「オニじゃないよおにぎりだよ」は、オニはおにぎりが大好きで、いつも夢中になって食べている存在として描かれています。山で人間が落としていったおにぎりを食べたことをきっかけに、「人間はこんなまずいおにぎりを食べているのか」と本気で勘違いし、美味しいおにぎりを届けようと行動し始めます。相手の状況を誤解したまま突き進むオニたちの姿が、ユーモアたっぷりに描かれており、「鬼=怖い存在」という固定した見方を自然と崩してくれます。勘違いから生まれる行動や気持ちのすれ違いを笑いながら受け止められるため、小学生が節分の鬼を別の角度から捉えるきっかけにつなげやすい一冊です。
対象年齢:低学年~
サイズ:16.8 x 1.2 x 20.6 cm
ページ数:63ページ
「おにのしょうがっこう」は、鬼の子供たちが通う学校を舞台に、授業や学校生活の様子が描かれています。学校という身近な設定が、小学生にとって理解しやすい構成です。鬼を「怖い存在」として遠ざけるのではなく、違う立場で生活している存在として見る視点が生まれやすくなります。節分に登場する鬼を、少し身近に感じながら読み進められる一冊です。学校生活に慣れ、自分と他者を比べる場面が増えてきた子供にとって、身近な設定として受け取りやすい内容です。
対象年齢:中学年~
サイズ:25.5 x 19.5 x 0.8 cm
ページ数:40ページ
「鬼が出た」は、各地に伝わる鬼の姿や場面を、写真を通して紹介している絵本です。物語が展開する構成ではなく、実際の鬼の姿を見ながら、その存在を感じ取る内容になっています。写真を中心とした構成のため、「鬼はどんな存在として伝えられてきたのか」を視覚的に捉えやすく、小学生が節分の鬼について考えるきっかけを作りやすい一冊です。昔話や行事を、文章だけでなく写真から理解したい子供が、興味を持ちやすい内容です。
絵本をきっかけに、節分を家庭の学びにつなげる関わり方
節分の絵本は、読み聞かせをした時点で役割が終わるものではありません。小学生の場合、絵本を「行事を考える入り口」として位置づけることで、家庭の中での学びにつなげやすくなります。大切なのは、正しい知識を教えることよりも、行事について考える時間を持つことです。
読み聞かせのあとは「問いかけ」で終わらせる
節分絵本を読んだあと、「どういう話だった?」と内容を確認する必要はありません。「この鬼はどんな気持ちだったと思う?」「もし自分だったらどうする?」といった問いかけを添えることで、子供自身が感じたことを言葉にしやすくなります。答えが一つでなくても問題ありません。
行事と日常生活を結びつける
豆まきをするときに、「絵本に出てきた鬼はどうだった?」と話題を戻すだけでも、絵本と実体験が結びつきます。節分を特別なイベントとして切り離すのではなく、日常の会話の中で触れることで、行事は身近なものとして定着していきます。
毎年くり返す行事だからこそ、積み重ねを大切にする
小学生の節分理解は、一度で完成するものではありません。低学年のときは物語として楽しみ、中学年になると意味に目が向くなど、受け取り方は年齢とともに変わっていきます。毎年同じ行事に触れる中で、少しずつ考えが深まっていくことを前提に関わることが、無理のない学びにつながります。
まとめ|小学生の節分は「知る」より「考える」きっかけづくりが大切
小学生になると、節分は豆まきを楽しむ行事から、「なぜ行うのか」を考える行事へと少しずつ変わっていきます。その過程で、絵本は行事を説明する道具ではなく、考えるきっかけを与えてくれる存在として役立ちます。
鬼の立場や気持ち、昔の人の考え方に触れられる絵本を通して、節分を一方向からではなく多角的に捉える視点が育ちます。年齢や理解度によって受け取り方が違っても問題はありません。家庭での会話や体験と結びつけながら、行事に触れる時間を重ねていくことが大切です。
節分絵本をきっかけに、家庭ならではの関わり方を見つけることで、行事は学びとして自然に積み重なっていきます。無理に理解させようとせず、子供の感じ方に寄り添いながら取り入れてみてください。
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