入園式が近づくと、「ちゃんと通えるかな」「泣かずに行けるかな」と、子供の様子が気になってくるものです。楽しみにしているように見えても、子供の中では不安と期待が入り混じっていることも少なくありません。
そんな時期に、家庭でできる準備のひとつが絵本の読み聞かせです。絵本を通して園生活をイメージすることで、子供は少しずつ気持ちを整えていきます。無理に前向きにさせる必要はなく、気持ちに寄り添うことが大切です。
この記事では、入園式が近づいた時期に読みたい絵本の考え方や選び方を整理しています。家庭での関わり方のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
※2026年2月5日時点の情報です。
入園式が近づく時期に、子供の気持ちはどう変化するのか
入園式を控えた時期は、子供の気持ちが揺れ動きやすいタイミングです。新しい園や先生、友達との出会いに期待を持つ一方で、これまでとは違う生活への戸惑いも生まれやすくなります。ここでは、入園前の子供に見られやすい気持ちの変化を整理します。
「楽しみ」と「不安」が同時に生まれやすい時期
入園式が近づくと、子供は少しずつ園生活を意識し始めます。通園バッグに触れたり、「幼稚園」「保育園」といった言葉を口にしたりする姿が見られることもあるでしょう。一方で、知らない場所へ行くことや、親と離れて過ごす時間が増えることに対して、不安を感じる子供も少なくありません。期待と不安が同時に存在するのは、この時期ならではの自然な反応です。
言葉にできない不安は行動として表れやすい
入園前の子供は、自分の気持ちを言葉で整理することが難しい場合があります。そのため、不安や緊張が「甘えが強くなる」「機嫌が不安定になる」「眠りが浅くなる」といった行動として表れることもあります。こうした変化は特別なものではなく、新しい環境を前にした心の準備段階といえます。周囲の大人が背景を理解しておくことが大切です。
安心できる関わりが気持ちを落ち着かせる土台になる
入園式前の時期は、家庭での安心感が子供の心を支える重要な要素になります。生活リズムを大きく変えず、ゆったりと関わる時間を持つことで、子供は少しずつ気持ちを整えていきます。絵本の読み聞かせも、安心できる関わりの一つです。物語を通して気持ちを共有する経験が、不安と向き合う土台につながります。
入園式前に絵本を読むことが子供に与える影響
入園式を前にした時期は、子供がこれから始まる生活を具体的に想像しにくい状態にあります。見通しが持てないことは、不安につながりやすい要因のひとつです。ここでは、入園前に絵本を読むことが、子供の気持ちにどのような影響を与えるのかを整理します。
園生活を「イメージできる」ことで気持ちが落ち着く
絵本の大きな役割のひとつは、まだ経験していない出来事をイメージとして伝えられる点です。園での生活や集団で過ごす様子が描かれた絵本を読むことで、子供は「どんな場所なのか」「どんなことをするのか」を少しずつ思い描けるようになります。見通しが持てるようになることで、不安がやわらぎやすくなります。
不安な気持ちを否定せずに受け止められる
入園前の子供が感じる不安は、なくそうとするものではありません。絵本には、緊張や戸惑いを感じる登場人物が描かれていることも多く、子供は自分の気持ちを重ね合わせながら物語に触れます。「不安を感じてもよい」と自然に受け止められることが、気持ちを整える助けになります。
親子で同じ気持ちを共有できる時間になる
読み聞かせの時間は、親子が同じ物語を共有する貴重な時間です。感想を無理に引き出す必要はなく、ただ一緒にページをめくるだけでも、子供にとっては安心感につながります。絵本を通して気持ちを共有する経験が、入園式を迎える心の準備を支えます。
入園式前に読む絵本の選び方のポイント
入園式が近づくと、「どんな絵本を読めばよいのか」と迷う家庭も多いのではないでしょうか。入園に関する絵本は数多くありますが、大切なのは内容が子供の気持ちに合っているかどうかです。ここでは、入園前に読む絵本を選ぶ際の考え方を整理します。
入園式そのものが描かれていなくても問題ない
入園前に読む絵本は、必ずしも入園式や園生活が直接描かれている必要はありません。新しい場所へ行くことや、初めての体験に向き合う場面が描かれていれば、子供は自然と自分の状況と重ね合わせます。特に年齢が低い子供の場合、「幼稚園」や「保育園」という言葉そのものよりも、気持ちの動きに共感できるかどうかが重要です。環境が変わることへの戸惑いや緊張が描かれている絵本は、入園前の気持ちに寄り添いやすい傾向があります。
子供の年齢や性格に合わせて選ぶ
同じ年齢でも、子供によって物語の受け取り方は大きく異なります。ストーリーを最後まで楽しめる子供もいれば、短いやりとりや絵の雰囲気から感じ取る子供もいます。文章量が多すぎると集中が続かないこともあるため、無理なく最後まで読める構成かどうかを意識することが大切です。また、登場人物の表情や行動が分かりやすい絵本は、言葉にできない気持ちを理解する助けになります。
前向きすぎない内容を意識する
入園前の絵本というと、明るく元気な内容を選びたくなるかもしれません。しかし、不安や戸惑いを感じる場面が描かれている絵本のほうが、子供の気持ちに近い場合もあります。大切なのは、「不安を感じても大丈夫」というメッセージが自然に伝わることです。最初から前向きな展開ではなく、気持ちが揺れる過程が描かれている絵本は、入園前の心の準備につながります。
入園式が近づいたら読みたい絵本6選
入園式前に読む絵本は、「不安をなくすための道具」ではなく、子供の気持ちをそのまま受け止めるための存在です。園生活を具体的に知りたい子供もいれば、気持ちが揺れている子供もいます。ここでは、入園前のさまざまな気持ちに寄り添える絵本を、役割の違いが伝わるようまとめています。是非、入園式前の絵本選びの参考にしてください。
「ようちえんのいちにち」は、園での一日の流れを、朝の登園から降園まで丁寧に描いた一冊です。初めて幼稚園に通う子供にとって、「幼稚園では何をするのか」が分かることは、大きな安心につながります。遊びや活動だけでなく、着替えや食事など日常の場面も描かれているため、生活のイメージを持ちやすい点が特徴です。入園式前に読むことで、「分からない場所」だった園が、少し身近な存在として感じられるようになります。見通しを持つことが不安の軽減につながる子供に向いている絵本です。
「ほいくえんのいちにち」は、保育園での生活を、一日の流れに沿ってスケッチ風に紹介している絵本です。長時間過ごす保育園ならではの場面が描かれており、保護者と離れて過ごす時間が長い子供にとって、安心材料になりやすい内容です。生活のリズムや先生との関わりが自然に伝わるため、入園前の心構えづくりにも役立ちます。「どんな場所か分からない」という不安を抱えている子供にとって、具体的なイメージを持つきっかけになる一冊です。
対象年齢:3歳~
サイズ:22 x 22 x 2 cm
ページ数:10ページ
「ペネロペようちえんへいく」は、しかけ絵本として、視覚的にも楽しめる構成が特徴です。集中力が続きにくい年齢の子供でも、ページをめくる楽しさを通して園生活に触れられます。ペネロペの行動を追いながら、幼稚園での出来事を自然に知ることができます。文章量が控えめなため、絵本に慣れていない子供にも取り入れやすい一冊です。初めての読み聞かせにも向いています。
「ようちえんがばけますよ」は、園生活を空想的に描いた絵本で、現実をそのまま伝えるのではなく、やわらかい表現で包み込んでいます。園に対して漠然とした不安を抱えている子供や、現実的な説明を嫌がる子供に向いています。気持ちを直接言葉にしなくても、物語を楽しむ中で心がほぐれていく構成です。入園前の緊張が強い子供の「逃げ場」として読んであげたい一冊です。
「ぐるんぱのようちえん」は、失敗や遠回りを肯定するメッセージが込められた絵本です。「うまくできなくても大丈夫」という考え方は、入園前の子供にとって大切な視点です。園生活に不安を感じる理由が、「ちゃんとできるかどうか」である場合、この絵本は心の支えになります。できることよりも、その子らしさを大切にする姿勢が自然に伝わる一冊です。
「ようちえんいやや」は、「行きたくない」という気持ちを、正面から描いた絵本です。不安や拒否感を否定せず、そのまま表現している点が特徴です。入園前に強い抵抗を見せている子供にとって、「そう思ってもいい」と感じられることは安心につながります。前向きにさせることを目的とせず、気持ちを受け止める一冊として、入園前の読み聞かせに取り入れたい絵本です。
入園式前の読み聞かせで大切にしたい関わり方と声かけ
入園式前に絵本を読む目的は、子供を前向きにさせることではありません。気持ちの揺れを受け止め、安心できる関係を保つことが大切です。ここでは、入園前の読み聞かせで意識したい関わり方を整理します。
感想を無理に聞き出そうとしない
読み聞かせのあと、「どう思った?」と感想を聞きたくなる場面もあるでしょう。しかし、入園前の子供は、自分の気持ちをうまく言葉にできないことが多くあります。言葉が出てこないからといって、何も感じていないわけではありません。静かに聞いている、同じ場面をじっと見ているといった反応も、気持ちを整理しているサインです。大人が答えを求めすぎず、子供の反応をそのまま受け止めることで、読み聞かせの時間はより安心できるものになります。
子供の反応をそのまま受け止める
絵本を読んでいる途中や読み終わったあとに、「行きたくない」「こわい」といった言葉が出ることもあります。その際、励ましたり理由を説明したりしたくなるかもしれませんが、まずは気持ちを受け止めることが大切です。「そう思うんだね」「いやな気持ちになるよね」と共感する言葉をかけることで、子供は安心して自分の気持ちを出せるようになります。読み聞かせは、正しい考え方を教える場ではなく、気持ちを共有する時間だという意識を持つことが大切です。
繰り返し読むことを大切にする
同じ絵本を何度も読みたがる行動は、子供が安心を確認している状態と考えられます。入園式前は特に、気持ちが不安定になりやすいため、慣れた内容を繰り返すことで心が落ち着く子供も多くいます。新しい絵本を次々に用意するよりも、子供が気に入っている一冊を大切に読むことが、心の準備につながります。読み聞かせの回数や内容に正解はなく、子供の様子に合わせて無理なく続けることが重要です。
まとめ|入園式前の絵本は「不安を消す」より「気持ちに寄り添う準備」
入園式が近づく時期、子供は新しい生活への期待と同時に、不安や戸惑いを抱きやすくなります。その気持ちは必ずしも言葉で表れるとは限らず、行動や態度の変化として現れることも少なくありません。こうした時期に、家庭でできる関わりのひとつが絵本の読み聞かせです。
入園式前に読む絵本は、園生活を具体的にイメージする助けになるだけでなく、「不安を感じてもよい」「うまくできなくても大丈夫」という気持ちを、子供自身が受け止めるきっかけになります。園の一日を描いた絵本、友達との関わりを描いた絵本、行きたくない気持ちをそのまま表現した絵本など、役割はさまざまです。すべてを読む必要はなく、子供の様子や性格に合った一冊を選ぶことが大切です。
読み聞かせの際は、感想を無理に聞き出そうとせず、子供の反応をそのまま受け止める姿勢が求められます。同じ絵本を繰り返し読むことも、安心感を確かめる大切な行動です。入園式はゴールではなく、新しい生活の始まりです。絵本を通した関わりが、子供にとって安心できる一歩となるよう、家庭のペースで取り入れてみてください。
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