「文字のない絵本とは何ですか?」
「おすすめの字のない絵本が知りたい」
絵本を子供に読み聞かせようと、絵本を探す中で「文字のない絵本」に出会ったけれど、文字のない絵本にはどんな効果があるのか、どの絵本が子供にいいのか悩みますよね。
「字のない絵本」は、文字がなく絵だけで構成された絵本です。一見シンプルに見えますが、子供の想像力や表現力を引き出し、親子の会話も自然に広がる優れた知育アイテムとして注目されています。この記事では、その効果や読み聞かせのコツ、年齢別のおすすめ作品まで詳しく紹介しているので、最後まで目を通してみてください。
※2025年4月3日時点の情報です。
字のない絵本とは?特徴と注目される背景
「字のない絵本」を知らない人は、文字のない絵本を想像しにくいかもしれません。
字のない絵本は、字なし絵本や言葉のない絵本など、さまざまな呼び方で紹介されています。
イラストレーションのみで構成された絵本。絵本は一般的に,テキスト( ことば,文) とイラストレーション(絵)による総合芸術と呼ばれるが, 視覚言語としてのイラストレーションのみで事物や物語を表現する絵本ならではの試みが文字なし絵本である。文字なし絵本には, 形と色彩のみでストーリーが展開する絵本, 絵の細部に描きこまれた物語を発見して楽しむ絵本, ナンセンスなイメージの展開を楽しむ絵本, 自然の変化を視覚的に表現した写真絵本などがある。
引用:中川素子・吉田新一・石井光恵・佐藤博一編(2011)『絵本の事典』朝倉書店
つまり、字のない絵本は、その名の通り文字を使わず絵だけで物語が進む絵本のことです。読み手は文字がない分、絵を見ながら自由にストーリーを想像し、自分だけの物語を作り上げる楽しさを味わえます。文字に頼らないからこそ、感性や想像力を存分に働かせることができるので、子供はもちろん、大人も夢中になる魅力があります。
また、字がない絵本はさらに、日本語がまだ読めない幼児や、異なる言語を話す親子にとっても、「字がない」ことでコミュニケーションの幅が広がる利点があります。
また、デジタル化が進む現代において、“あえて文字のない”体験が新鮮で豊かな時間を提供する点も、支持を集める理由のひとつです。
字のない絵本の効果とは?想像力・表現力・親子の対話力
字のない絵本が注目される理由のひとつは、今まで子供自身が習得してきた言葉を探しながら表現力が付くことです。文字がないからこそ、子供自身が絵から感じ取ったことを自由に言葉にし、自分なりのストーリーを語り始めます。また、絵が物語っていることを読み取る力も付きます。つまり、字のない絵本は、子供の語彙力や発想力、論理的思考の発達、読み取る能力につながります。
さらに、親子で一緒に読みながら「この人は何をしてると思う?」「次はどうなるかな?」と問いかけることで、自然と会話が生まれ、対話力やコミュニケーション力の向上にもつながります。子供の考えを受け止めながら話を広げる時間は、親子の信頼関係を深める貴重な時間にもなります。
自由な解釈ができる字のない絵本は、正解がないからこそ広がる学びを提供してくれる、優れた知育アイテムです。
字のない絵本の選び方と楽しみ方の広がり
字のない絵本を選ぶ際は、子供の年齢や興味に合わせて「絵のタッチ」や「ストーリー性の強さ」をチェックするのがポイントです。まだ言葉が少ない年齢の子には、色彩が鮮やかでわかりやすい絵を。想像力が発達してきた子には、展開のある絵本がおすすめです。
また、おうち時間の遊び道具としてはもちろん、図書館で借りて親子で読む体験もおすすめ。子供同士でストーリーを語り合ったり、家族みんなで“自作絵本”をつくるきっかけにもなります。
字がないからこそ広がる自由な世界。読み方にルールはなく、楽しみ方は無限大です。日々の暮らしの中に、想像をふくらませる時間を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【年齢別】おすすめの字のない絵本6選
字のない絵本にはさまざまなタイプがあり、年齢や発達段階に合わせて選ぶことで、より効果的に楽しむことができます。ここでは、年齢別におすすめの絵本をご紹介します。
【0歳~】じのない えほん (ブルーナの絵本)
対象年齢:0歳~
サイズ:16.5 x 0.8 x 16.5 cm
ページ数:28ページ
「じのない えほん」は、0歳から楽しめる子供が認識しやすい原色で描かれた字のない絵本です。散歩に出かけたり、家に帰ってきたり、積み木で遊んだりと、子供の一日の生活が描かれています。絵がわかりやすいので物語を作りやすく、子供が話せるようになったら親子で会話を楽しみながら読める一冊です。0歳から楽しめるシンプルで奥深い絵本です。
【2歳~】あかいふうせん
グラフィックアーティストの「イエラ・マリ」が描いた「あかいふうせん」は、鮮やかな赤い風船が主人公です。子供が膨らませると大きな風船になり空へ飛んで行ったり、高い木になっているりんごになったり、蝶になったりと風船が変化していきます。文字はないですが物語は絵で描かれていて、鮮やかな色合いもあり、目が引き付けられる絵本です。
【3歳~】ぞうのボタン-字のない絵本-
「ぞうのボタン-字のない絵本-」は、ぞうのおなかにボタンが4つ。そのボタンを開けると中から馬が出てきて、馬のおなかにもボタンが…。つぎつぎとボタンを開けると出てくる動物たちに、「次はどうなるの?」と親子の会話が自然と生まれます。子供に次は何が出てくるかなと問いかけながらめくっていくことで、子供も絵本の中に入り込める絵本です。
【3歳~】木のうた (海外秀作絵本)
「木のうた」は、1本の木が描かれた文字のない絵本です。真っ白な雪に覆われた冬の木から始まり、木を中心に1年間の季節の移り変わりや木の変化、周りの動物たちが描かれています。美しい自然の景色や動物たちの観察ができて、まるで、耳を立てると葉っぱのこすれる音や鳥のさえずりが聞こえてくるような一冊です。
【4歳~】おふろやさん (こどものとも傑作集)
「おふろやさん(こどものとも傑作集)」は、お風呂がテーマのユーモラスであたたかな絵本です。「これから、あっちゃんは、おとうさんと おかあさんと あかちゃんといっしょに おふろやさんにでかけます。」といった文字が絵本の始めに出てきますが、これ以降文字は出てきません。お風呂屋さんの日常が細かく描かれており、下駄箱や脱衣所、もちろん湯舟などが描かれており、ご年配のかたや子供、太った人や痩せた人など様々な人や風景が描かれている絵本です。
【7歳~】Michi (福音館の単行本)
「Michi(福音館の単行本)」は、言葉を一切使わず、美しい風景と繊細な構図だけで物語を描き出す字のない絵本です。一本の「道」をテーマに、ページをめくるたびに変化する季節や日常の風景が広がり、子供はもちろん大人も静かに心を動かされます。言葉がないからこそ、親子で「これは何だろう?」「次はどうなるのかな?」と会話が自然に生まれ、想像力や観察力を育むことができる一冊です。
読み聞かせのコツ|文字がないからこそ大切な工夫
字のない絵本を読み聞かせる際は、文字がないからといって難しく考える必要はありません。むしろ、親子で一緒に物語をつくるという楽しさを味わえるのが、この絵本ならではの魅力です。
まずは、ページをめくりながら絵をじっくり見て、「どんな気持ちだと思う?」「このあと何が起きそう?」と子供に問いかけてみましょう。答えに正解はなく、子供が自由に想像できることが大切です。
また、登場人物の声色を変えたり、間を取ったりといった、語り方の工夫をしてみましょう。感情や音を効果音やオノマトペなどの言葉で表現することで、物語への没入感が高まり、より豊かな読書体験になります。
字がないからこそ、親の関わり方次第で楽しさが何倍にも広がります。一緒に物語を紡ぐ体験は、子供にとっても大人にとっても、かけがえのない時間になります。
まとめ:「字のない絵本」で広がる、想像と対話の世界
「字のない絵本」は、文字のない自由な絵だけの世界だからこそ、子供の想像力・表現力・対話力を自然と引き出してくれる知育アイテムです。年齢や興味に合わせて選べば、発達段階に応じた効果を得られ、親子のコミュニケーションもより深まります。
また、読み聞かせには特別な技術は必要なく、子供の発想に寄り添いながら一緒に物語を楽しむことで、唯一無二の時間が生まれます。
文字のないページから始まる物語は、無限の楽しさと学びの可能性を秘めています。ぜひ一度、親子でその世界をのぞいてみてください。
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参考文献
德永加代,“語彙を豊かにする「文字なし絵本」の可能性 ―詩の創作活動を通してー ”,https://tezukayama.repo.nii.ac.jp/record/1720/files/Tkosodate04_08_Tokunaga.pdf,(参照 2025-04-03)
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