秋になると、木々が赤や黄色に色づき、落ち葉の音や風の香りなど、自然の変化を五感で感じられる季節になります。そんな秋の風景をきっかけに、子供の「感じる心」を育てたいと思うかたも多いのではないでしょうか。
秋の絵本は、5歳児の成長に合わせて感性や表現力を伸ばすうえでも役立ちます。5歳の時期は、好奇心や感受性がぐんと伸び、身の回りの出来事を自分なりに考え、言葉で伝えられるようになる大切な時期です。秋の絵本は、自然や食べ物、動物など身近なテーマを通して、想像力や共感力を育てる絶好の教材といえます。
この記事では、秋の季節を感じながら楽しめる絵本を紹介します。作品選びのポイントや、親子での読み聞かせの工夫もわかりやすく解説しています。秋の夜長に、心があたたかくなる読み聞かせ時間を過ごすために、ぜひ参考にしてください。
※2025年11月10日時点の情報です。
5歳児にとって「秋」はどんな季節?感性が豊かに育つ理由
秋は、子供の五感を刺激する要素がたくさん詰まった季節です。気温の変化や色づく木々、旬の食べ物との出会いなど、日常のなかで感じる「ちょっとした発見」が、心の成長に大きく関係しています。ここでは、秋が5歳児の感性を育てる理由を、わかりやすく紹介します。
色や音、香りが心を動かす季節
5歳児は、色彩や音、香りなどの変化を敏感に感じ取る時期です。秋の風景には、赤・黄・オレンジといった温かい色合いが多く、目で見て楽しむ体験が情緒の発達を促します。また、落ち葉を踏む音や木の実が転がる音、夕方の虫の声などは、耳で感じる自然のリズムです。こうした日常の中の小さな音や光景を感じ取ることで、「心地いい」「面白い」といった感情が芽生え、豊かな表現力の基礎が育まれます。
自然の変化を通して「感じる力」と「考える力」が育つ
秋は、日が短くなったり、木の実が実ったりと、自然の変化がはっきりと感じられる季節です。5歳ごろの子供は、そうした変化に気づきやすくなり、「どうして葉っぱの色が変わるの?」「風が冷たいね」と、感じたことを自分の言葉で伝えようとします。こうした気づきは、観察する力や考える力の芽生えにつながります。自然の移り変わりを身近に感じることで、心の中に生まれた思いや発見を、絵本や遊びの中で表現する姿も増えていきます。季節を感じ取り、それを言葉や行動で表す体験が、感性を育てる大切な一歩となるのです。
秋を感じる絵本を選ぶポイント|5歳児の発達段階に合わせて
秋の絵本を選ぶときは、「今の子供がどんなことに心を動かされているか」を意識することが大切です。5歳児は、登場人物の気持ちを想像したり、物語の中の出来事を自分の経験と結びつけたりできるようになる時期です。だからこそ、内容の深さだけでなく、「自分だったらどう感じるか」を考えられる絵本を選ぶと、心がより豊かに育ちます。ここでは、5歳の子供が楽しみながら感性を育てられる絵本を選ぶためのポイントを紹介します。
自然や季節の移ろいを感じられる絵本を選ぶ
秋は色、音、香りなどの変化が大きく、自然そのものが子供にとって魅力的な教材になります。紅葉した木々、どんぐりや落ち葉、虫の声などが描かれた絵本は、季節の情景をイメージしやすく、五感を育てるきっかけになります。絵本を読みながら「この葉っぱは何色かな?」「どんなところにいるのかな?」と問いかけると、子供の想像力や表現力が自然に引き出されていきます。
身近な食べ物や動物が登場する物語もおすすめ
5歳児は、身の回りの出来事や登場人物に共感しながら物語を楽しむことが増えます。秋の味覚や動物たちの暮らしを描いた絵本は、親しみを持ちながら季節の変化を感じられる題材です。たとえば「さつまいも」「くり」「りす」「くま」など、秋らしいキーワードが出てくる作品は、読後に「食べてみたいね」「探してみようか」と会話が広がり、自然と学びの機会につながります。
登場人物の気持ちに寄り添えるストーリーを選ぶ
感情の発達が進む5歳ごろは、登場人物の心の動きに共感できるようになります。悲しさやうれしさ、思いやりなど、さまざまな感情が描かれた絵本を通して、子供は他者の気持ちを想像し、自分の感情を言葉にする力を育てていきます。
「この子はどうして泣いたのかな?」「うれしかったんだね」といった言葉を添えることで、共感や優しさが自然と深まります。
5歳児におすすめの秋の絵本5選|自然や食べ物・動物をテーマに紹介
秋の絵本は、自然の美しさや季節の恵みを感じながら、心の豊かさを育てるきっかけになります。5歳ごろの子供は、自分の感じたことを言葉で表現したり、登場人物の気持ちに共感したりする力が育つ時期です。ここでは、秋をテーマにした絵本の中から、自然・食べ物・動物など、五感を刺激する絵本を紹介します。
「おはようオロギーコ」は、森の朝を舞台に、虫たちのいきいきとした姿を描いた絵本です。主人公のオロギーコが、秋の森で出会う仲間たちを「すてきな羽根の音」で起こしながら進んでいく様子は、自然の生命力を感じさせます。やわらかな色合いとテンポのよい言葉が心地よく、読むたびに虫たちの音や自然が浮かぶ一冊です。秋の始まりにぴったりの絵本として、自然のやさしさや命のつながりを感じられます。
「やきいもの日」は、秋の定番・焼きいもを通して、友達とのつながりやあたたかさを描いた作品です。絵の中には、秋の光や煙、土の香りなど、五感を刺激する要素がたくさん詰まっています。シンプルなストーリーの中に、友達や季節のぬくもりが感じられ、読みおわった後に心がほっとする内容です。読み終えたあとに「焼きいも食べたいね」と会話が広がる、家庭でも楽しめる一冊です。
対象年齢:4歳~
サイズ:22.2 x 0.7 x 20.7 cm
ページ数:24ページ
「ぽっとん ころころ どんぐり」は、どんぐりが「ぽとぽとぽっとん、ぽっとんころころ」と転がっていく様子を、やさしいリズムで描いた絵本です。繰り返しの言葉が心地よく、読むたびに自然の中で遊んでいるような感覚を味わえます。秋の森の中で起こる小さなできごとを追うことで、「どこに行くのかな?」「どうなるのかな?」と想像力が広がります。文章が短くテンポが良いため、就寝前の読み聞かせにもぴったりです。
対象年齢:4歳~
サイズ:25 x 21 x 1 cm
ページ数:34ページ
「おかしな?ハロウィン」というタイトルの通り、ページをめくるたびに「おかし」と「おかしな」がかけ合わされたユーモラスな世界が広がります。おばけも動物も入り混じり、テンポよく展開する場面の数々に、読んでいる子供も思わず笑顔になります。明るい色づかいと大胆な構図が印象的で、秋の行事を楽しみながら言葉の面白さや発想の豊かさを感じられる一冊です。
「山のおふろ」は、雪の中で動けなくなっていたトガリネズミを助けたことをきっかけに、ふしぎな「山のおふろ」へと案内されます。まぶしい雪山の白さと、ほかほかとしたお湯のあたたかさの対比が印象的で、ページを大きく広げて楽しめる場面もあります。寒い季節に読みたくなる一冊で、自然の中で動物たちと過ごす時間へのあこがれや、困っている小さな命を助ける優しさに触れられる絵本です。
親子で楽しむ読み聞かせのヒント|秋の絵本をもっと味わうために
秋の絵本は、読むだけで季節の音やにおいを感じさせてくれる不思議な魅力があります。読み聞かせの時間を少し工夫することで、物語の世界がより深く広がり、子供の感じる力がいっそう育ちます。
ここでは、秋の絵本を親子でより楽しく味わうための、読み聞かせのヒントを紹介します。
子供の「気づき」を大切にしながら読む
読み聞かせのときは、子供の感じ方を尊重して、無理に質問を重ねないことが大切です。物語に夢中になっているときは、その世界にじっくり浸れるように静かに見守りましょう。読み終えたあとに「どんなところが印象に残った?」など、さりげなく話しかけると、子供の中に芽生えた気持ちを自然に言葉にできます。こうした時間の積み重ねが、感じたことを自分なりに考え、表現する力につながります。
五感で感じる工夫を取り入れる
秋の絵本を読むときは、物語に登場するものを実際に感じられるような工夫をすると、体験がより深まります。どんぐりを拾ってみたり、焼きいもを一緒に食べてみたりと、絵本の世界を現実と結びつける体験は、子供の感情と記憶に残りやすいです。読み終えたあとに「こんな色だったね」「あの音に似てたね」と話すと、季節の移り変わりや自然の面白さを親子で共有できます。
まとめ|秋の絵本で5歳児と過ごす、一日の終わりのやさしい時間
秋は、自然の変化を通して子供の心が大きく動く季節です。木の実を拾ったり、空の色が変わるのを見たりする中で、「きれい」「ふしぎ」「なんでだろう」という気持ちが生まれます。こうした小さな感情の動きは、やがて「感じる力」と「考える力」へとつながっていきます。
また、秋の夜は、日が落ちるのが早く、少し肌寒さを感じる季節。そんな時間に、あたたかい明かりのもとで絵本を読むことは、子供にとって安心できるひとときになります。穏やかな声でゆっくりとページをめくると、子供は自然と物語の世界に入り込み、心を落ち着かせながら眠りにつけます。絵本の内容だけでなく、読んでいる時間そのものが「親子のぬくもり」として記憶に残ることでしょう。
絵本は、その心の育ちをそっと支えてくれる存在です。秋の物語を通して、子供は自然や人との関わりの中で多くのことを感じ取り、自分なりの言葉で表現するようになります。親子で絵本を読む時間は、学びというよりも「心を育てる時間」。一冊の絵本を通じて、優しさや思いやり、そして季節を味わう感性が少しずつ広がっていきます。
秋の夜長、ページをめくる音とともに、子供と穏やかなひとときを過ごしてみてください。その時間が、きっとこれからの成長に温かく寄り添う思い出になります。
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