「ずりばいって、何ヶ月頃から始まるの?」
「8ヶ月になっても、うちの子がずりばいをしない…」
そんな不安を抱えていませんか?
SNSや育児書を見ると、「7ヶ月でずりばいを始めた」「もうハイハイしている」など、他の子供の成長が気になることもあるでしょう。しかし、発達には大きな個人差があり、必ずしも月齢どおりに進むとは限りません。
この記事では、8ヶ月でずりばいをしない赤ちゃんの発達について、医学的な目安とともに、家庭でできるサポート方法を紹介します。必要な支援と「見守る育児」の考え方を知ることで、焦らずに子供の成長を見守るヒントを得られるはずです。
※2025年6月17日時点の情報です
ずりばいしない原因として考えられること
8ヶ月を迎えてもずりばいが見られない場合、体の成長や環境、さらには性格や感覚の特徴など、さまざまな要因が関係している可能性があります。この段階では、一つの要因に絞って考えるのではなく、全体の様子を見ながら柔軟にとらえることが大切です。以下に、主に考えられる原因を紹介します。
筋力や体幹の発達がゆるやかである
ずりばいには、うつぶせ姿勢を維持できる体幹の力や、腕や脚を使って体を引き寄せる筋力が必要です。赤ちゃんによっては筋肉の発達がゆっくり進むことがあり、まだ自分の体を支えたり引き寄せたりする準備が整っていない場合があります。
感覚の敏感さやこだわりが影響している
感覚の敏感さやこだわりが強い赤ちゃんは、床に手や顔が触れることを嫌がってうつぶせ姿勢を避けたり、いつもと違う素材に触れるのを好まなかったりすることがあります。また、音や光などの刺激への反応が強い子は、動きよりも環境に対して注意を向けやすい傾向が見られることもあります。
環境や関わり方が行動を促していない
ずりばいは、目標となるものに近づきたいという気持ちから始まることが多いため、周囲の関わりや遊び方が刺激になっていないと、動き出すきっかけが生まれにくいこともあります。おもちゃの位置や親の声かけ、過ごしている場所の広さや素材なども影響を与える要素です。
性格や興味の方向性によるもの
赤ちゃんのなかには、じっくりと観察するのが好きなタイプや、動くよりも手先や音に興味をもつタイプもいます。ずりばいよりもおすわりが安定している子や、視線で物を追いかけるのが得意な子は、あえて動こうとしない時期があることもあります。
医学的な確認が必要なケースもある
まれに、筋緊張の異常や神経系の発達に関連する疾患が原因で、うつぶせ姿勢が極端に苦手だったり、体を動かす反応が乏しかったりすることがあります。寝返りや表情、音への反応など、他の動きや反応にも気になる点がある場合は、専門機関で発達の確認を受けることが勧められます。
家庭でできるずりばいのサポート方法
ずりばいは、「動いてみたい」という気持ちと、「動けるだけの体の準備」が揃ってはじめて起こります。毎日の関わりのなかで赤ちゃんの意欲を引き出しながら、無理のない範囲でサポートしていくことが大切です。ここでは、環境づくりや関わり方に加えて、遊びやおもちゃの活用法も紹介します。
床環境を見直して動きやすいスペースを作る
赤ちゃんが手足を踏ん張りやすくなるよう、フローリングにはすべりにくいマットやラグを敷くとよいでしょう。適度なクッション性があり、つかんだり押したりして力が入る素材が理想です。スペースにもゆとりを持たせ、前方に進む動作を妨げないようにします。

おもちゃを使って興味を引き出す
赤ちゃんの少し手が届かない位置に音が鳴るおもちゃやお気に入りのぬいぐるみを置いて、「触ってみたい」という気持ちを促します。左右や前後に動かして見せると、視線や上半身の動きが誘導され、自然と体を動かす練習になります。おもちゃの種類や位置を日ごとに変えるのも効果的です。
遊び方にもひと工夫を加える
赤ちゃんの「見たい・触りたい」という好奇心をくすぐる遊びは、ずりばいの自然なきっかけになります。たとえば…
- トンネル遊び:布をふんわりかけて「向こうにママがいるよ」と声をかける
- 呼びかけながらのおいで遊び:「おいで〜」とやさしく声をかけ、両手を広げて待つと安心感を持って進もうとします
- 兄姉やぬいぐるみの動きを真似させる:「ぬいぐるみが進んでるね、○○ちゃんも行ってみようか」と語りかけながら、動きのイメージを伝えるのも効果的です。
無理に練習させず、「やってみたい」気持ちを尊重する
ずりばいを「できるようにさせる」ことに意識が向きすぎると、赤ちゃんにとってストレスになることもあります。うまく動けないと泣いてしまったり、やる気をなくしてしまったりする場合は、遊びを中断し、機嫌がよいときにまた試してみましょう。発達には波があり、そのときに動けなくても、数日で急に進み始めることもあります。
ずりばいを促すおもちゃ6選|遊びながら自然に動きを引き出す
赤ちゃんが「動いてみたい」と思えるきっかけのひとつに、おもちゃがあります。特に転がる、光る、音が鳴るなどの要素をもつおもちゃは、赤ちゃんの好奇心を刺激し、自発的に体を動かす原動力になります。このセクションでは、ずりばいの練習につながるおすすめのおもちゃを紹介します。どれも遊びながら自然に動きを促せるアイテムです。
対象年齢:3か月~
サイズ:11 x 10.7 x 8.7 cm
「ラトル&ロール」は、車のかたちをしたユニークなデザインに、オーボールが組み込まれた赤ちゃん向けのおもちゃです。軽量で柔らかく、赤ちゃんの手でも握りやすい構造になっているため、軽く押すだけでスムーズに転がります。転がるとタイヤに内蔵されたビーズがガラガラと音が鳴り、視覚と聴覚の両方を刺激します。動くボールを追いかけようとするうちに、自然とずりばいの動作につながりやすくなるでしょう。
対象年齢:6か月~
サイズ:23.2 x 20 x 12.4 cm
「つかんでころりん」は、アンパンマンが転がるおもちゃになったアイテムです。コロンと丸みのある形で、少しの力でも前へ転がるため、赤ちゃんの手でも操作しやすくなっています。転がるたびに音が鳴る仕組みと、赤ちゃんが見える柄によって、視線と注意を引きつけやすく、ずりばいの動機づけにぴったりです。明るい表情と音の楽しさが、赤ちゃんの「近づきたい」という気持ちを引き出します。
対象年齢:3か月~
「ころころブルブル おいかけボール」は、転がるだけでなくブルブルと振動しながら音楽が鳴るのも特徴です。ランダムに動くため、赤ちゃんの興味を引き続けやすく、じっと見つめるだけでなく「触りたい」「追いかけたい」という動作を引き出すきっかけになります。床を転がすことで自然と手足を前に出す動きが誘導され、ずりばいの導入として使いやすいおもちゃです。
対象年齢:3か月~
サイズ:9 x 7 x 13 cm
鏡に映った自分の顔や動きに興味を示す赤ちゃんは多く、ミラーおもちゃはずりばいの促進にも役立ちます。アンビトーイの「ベビーミラー」は両面に鏡がついていて、赤ちゃんでも持ちやすい設計です。鏡の前で寝かせると、「近づいて見たい」「触れてみたい」という気持ちから前方への移動が促されます。
対象年齢:6か月~
サイズ:12 x 9.5 x 12 cm
hahalandの「ティッシュボックスのおもちゃ」は、ティッシュを引っぱる動きが好きな赤ちゃんの行動欲求を活かした布製おもちゃです。カラフルな布が何枚も詰まっていて、引っぱるたびに感触や音の違いを楽しめます。箱の位置を変えながら遊ぶことで、赤ちゃんが「もっと引きたい」という気持ちから体を前に運ぶ姿勢を誘導できます。箱から布製のティッシュを取って転がして置いたり、鏡の面を赤ちゃんに向けて置くことでも、ずりばいを促せます。
対象年齢:6か月~
「ふわふわボール」は、ピカチュウのデザインがかわいい、やわらかい素材の布ボールです。安全性が高く、転がす・触る・投げるといった動作ができるため、赤ちゃんが追いかけるきっかけにもなります。ふんわりとした手触りで、ぶつかっても痛みが少なく、はじめてのずりばい遊びにも取り入れやすいでしょう。ポケモンが好きな兄姉との遊びにも活用できます。
8ヶ月でもずりばいしない場合に相談を検討する目安
赤ちゃんの発達には幅があり、8ヶ月時点でずりばいが見られない場合でも、問題のない範囲であることは少なくありません。なかには、はいはいを経ずに立ち上がる子や、おしりを使って前に進む「おしり歩き」で移動する子もおり、動き方自体が個性的な発達であるケースも見られます。
そのため、ずりばいの有無だけに着目するのではなく、他の発達や行動とあわせて総合的に様子を見ることが大切です。以下のような点が複数当てはまる場合は、相談を検討してもよいでしょう。
他の発達段階(寝返り・おすわりなど)の様子を確認
ずりばいが見られなくても、寝返りやおすわりなどの発達が順調に進んでいる場合、特別な対応は必要ないことが多くあります。一方で、寝返りをしない、長時間同じ姿勢でいる、おすわりも不安定といった複数の遅れがある場合には、発達の全体像を把握することが求められます。
反応が乏しい・表情の変化が少ないなどの様子がある
音や声に反応しない、目が合いにくい、表情の変化が少ないといった行動が見られる場合は、運動機能だけでなく感覚や認知の発達にも注意が必要です。こうした点が気になるときは、ずりばいの遅れとあわせて専門機関に相談する判断材料となります。
相談先は保健センターや小児科、発達支援センターなど
月齢健診のタイミング以外でも、発達について相談したいときは、地域の保健センターやかかりつけの小児科、必要に応じて発達支援センターなどが相談窓口になります。子供の状態を把握するためには、些細な変化でも記録して伝えることが役立ちます。
焦らず見守ることも大切|育ちを支える関わり方のポイント
赤ちゃんの成長は、必ずしも月齢どおりに進むわけではありません。「周囲と違う」「遅れているのでは」と不安になることもありますが、発達には個人差があり、それぞれのペースを尊重することが大切です。ここでは、子供の育ちを支える関わり方のポイントを紹介します。
発達には幅があることを前提に関わる
厚生労働省が公表している「乳幼児身体発育調査」などでも、ずりばいやはいはいの時期には大きな個人差があるとされています。8ヶ月の時点でずりばいが見られない場合も、他の発達が進んでいれば問題のないケースは多くあります。発達の早い・遅いは一概に良し悪しではなく、個々の育ちの特徴と捉えることが大切です。
一人ひとりのペースを尊重する関わりが大切
保育現場でも、同じ月齢の子供たちがまったく違う動きを見せるのはよくあることです。ある子は活発に動く一方で、別の子はゆったりと周囲を観察して過ごすなど、得意なことや関心の方向性もそれぞれ異なります。家庭でも「○ヶ月だからこうであるべき」という考えにとらわれすぎず、その子のペースに合わせた見守りを意識することが求められます。
不安な気持ちはひとりで抱えず共有を
育児中の不安は、誰にでも生まれる自然な感情です。気になることがある場合は、地域の保健センターやかかりつけの小児科などに相談してみましょう。他の子と比べるのではなく、自分の子供にとってどうかを見つめることで、より適切な関わり方が見えてくることもあります。
まとめ|発達の幅を理解し、わが子の成長を見守るために
8ヶ月になってもずりばいをしないと、「遅れているのでは」と不安になることもあるかもしれません。しかし、ずりばいの開始時期には個人差があり、動きが見られないからといってすぐに問題と決めつける必要はありません。
赤ちゃんの発達にはさまざまな要因が関係しており、筋力や体型、興味の持ち方、家庭の環境などが影響します。必要であれば、床環境を整えたり、おもちゃを活用したりといった工夫も有効です。
また、寝返りやおすわりといった他の発達状況とあわせて判断し、反応が乏しいなどの気になる点がある場合は、保健センターや小児科などでの相談も選択肢に入れましょう。
子供の成長は、それぞれのリズムで進んでいくものです。大切なのは、他の子と比較することではなく、自分の子供の「今」を見つめ、必要なサポートをしながら穏やかに成長を見守っていく姿勢です。
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▼参考文献
LITALICO 発達ナビ.“ずりばいしない、ハイハイに進まない…。理由は?”.https://h-navi.jp/column/article/35026140/2,(参照 2025-06-17)
pigeon.info.“ズリバイしない”.https://pigeon.info/soudan/soudan-27957.html(参照 2025-06-17)
赤ちゃん&子育てインフォ.“Q. 腹ばいが嫌いではいはいをしない9か月の息子。 (2020.11)”.https://www.mcfh.or.jp/netsoudan/article.php?id=1666,(参照 2025-06-17)
たまひよ.“ずりばい・ハイハイが体を作る!赤ちゃんと楽しむ運動遊びのコツ”.https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=74950,(参照 2025-06-17)